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くらしの未来を創る

【SERIES|三重企業探訪】株式会社アシュメリー・クリエイト(後編)

遊びの中に、学びの芽がある――林社長が語る、知育玩具と子どもの未来

子を想うという事は未来基準を見つめるという事。その基準は住まいでも雑貨にも存在し指針となります。

前後編でお届けしている「まなべる雑貨やさん」のアシュメリー・クリエイト株式会社。
代表である林社長に直接お話しいただく後編では、遊びを通じた学びや子どもの成長と親子の時間についてお伺いしました。

知育玩具。そう聞くと、少し特別なものに感じる人もいるかもしれない。

文字や数字を覚えるためのもの。

子どもの力を伸ばすためのもの。

教育に役立つ道具。

 

もちろん、そうした一面もある。けれど、アシュメリー・クリエイト株式会社 代表取締役の林毅社長は、知育玩具をもっとやわらかく捉えている。

 

 

「知育玩具を与えれば賢くなるとか、そういうものではないんです」

 

林社長にとって知育とは、子どもが自分で触れ、試し、感じ、考えるためのきっかけ。遊びの中で、子どもの興味や好奇心が少しずつ芽を出していく時間である。

 

知育は、何かを早くできるようにするためだけのものではない。子どもが自分で世界に触れていくための入口。

 

親がその姿を見守るための接点。そして、親子の暮らしの中にある小さな学びである。

 

 

林社長は、知育を子どもの成長段階の中で考えている。小さな子どもには知育、少し大きくなれば教育玩具、小学生に近づけば学習玩具。それぞれに役割があり、知育はその一番はじめの入口にあるものだ。

 

まだ勉強という言葉には少し早く、正解を覚えるよりも、まずは触れてみる時期。

自分の手で試しながら、世界を知っていく時期である。

 

「子どもの成長の途中段階に、一つの物事を始めるきっかけとして捉えています」

 

知育玩具は、何かをできるようにさせるためだけの道具ではない。

子どもが何かに興味を持つためのきっかけであり、自分でやってみたいと思うための入口。親子で向き合うための小さな接点でもある。

 

たとえば、積み木。

大人はつい、積み上げるものだと思う。けれど、子どもにとっては少し違う。

 

最初は壊す。積まれたものを倒し、何度も倒して、音や形の変化を楽しむ。

 

「積み木は、積み上げるものじゃなくて、最初は壊すものから始まるんです」

 

そのうち、子どもはどうして崩れるのかに気づき、バランスを感じ、今度は自分で積みたくなる。遊びの中で、少しずつ学びが始まっていく。

子どもが遊んでいると、大人はつい声をかけたくなる。「それは違うよ」「こうしたらいいよ」「こっちが正解だよ」と、先に答えを示したくなる場面も多い。

 

もちろん、危ないことは止める必要がある。けれど林社長は、子どもが自分で探す時間も大切にしてほしいと話す。

 

「子どもの脳は、探求する気持ちが必ずどこかにあるんです」

 

触ってみる。動かしてみる。落としてみる。並べてみる。うまくいかなくても、もう一度やってみる。

その中で、子どもは自分なりに考えている。大人がすぐに答えを出してしまうと、その考える時間が少なくなってしまうこともある。

 

だから、少し待つ。見守る。子どものペースに合わせる。

 

「きっかけだけ作ってあげるのが親の仕事であって、それ以上は、本人の自由にしてあげること、待ってあげることも考えてほしい」

 

この言葉は、親にとっても少し肩の力が抜けるものだ。完璧に教えなくていい。すぐにできるようにしなくていい。子どもが自分で気づく時間を、そっと残しておく。

 

 

知育は、大人が一方的に教えるものではなく、子どもが自分から動き出すきっかけを整えるものでもある。

 

 

おもちゃを選ぶとき、価格や人気、レビューが気になる人は多い。

 

高いもののほうがいいのか、有名なものを選べば間違いないのか、口コミの評価が高いものがその子にも合うのか。迷う場面は少なくない。

そんなとき、林社長は少し違う見方をする。

 

「おもちゃは、遊んだ時間が価値だと思っています」

 

たとえば、100万円のおもちゃと100円のおもちゃがあったとする。大人はつい価格で価値を判断してしまうが、子どもにとって大切なのは、どれだけ楽しく遊べるか、どれだけ夢中になれるか、何度も手に取りたくなるかである。

 

高価なおもちゃで1時間しか遊ばない一方で、身近なおもちゃで1日中遊ぶこともある。そのとき子どもにとって価値があったのは、長く心が動いたほうなのだ。

 

「本当は主役は自分のお子さんなんだけど、他の子のお母さんのコメントを基準にしてしまう」

 

ネットで買い物がしやすい時代。レビューもランキングもすぐに見られ、それは便利で参考にもなる。

けれど、最後に見るべきなのは、目の前の子どもである。

どんな音に反応するのか、どんな色に手を伸ばすのか、どんな遊び方をするのか、どんなときに笑うのか。そこに、その子に合ったおもちゃ選びのヒントがある。

 

子どもが実際に触り、親がその様子を見る。スタッフも反応を見ながら提案する。

 

「これはAmazonにはできないんです」

 

便利さとは違う価値。その場で子どもの反応を見られること。

 

親も、子どもの新しい一面に気づけること。アシュメリーが大切にしているのは、そうした体験である。

 

林社長が注目するものの一つが「音」だ。子どもは、早い段階から音にふれる。

 

叩くと音が鳴り、もう一度叩いてみる。すると、さっきとは違う音に気づく。そこから少しずつ、リズムのようなものが生まれていく。

 

「音から始まって、音楽に移行していくんです」

 

最初から上手に演奏する必要はない。きれいなメロディにならなくてもいい。

まずは、自分が動かすと音が返ってくることを楽しむ。その感覚が、子どもの興味を広げていく。

 

絵本にも、林社長の思いがある。読み聞かせは、子どもだけの時間ではない。親にとっても、子どもを思う時間になる。

 

「書店の中で絵本を選んでいる時間も、実は子どもと向き合っている時間なんです」

 

たとえ子どもが目の前にいなくても、保育園に行っている間でも、棚の前で絵本を選ぶ時間には子どもへの思いがある。

 

どんな話を読んであげようか。どんな言葉にふれてほしいか。どんな心を育ててほしいか。そんなことを考えながら選ぶ一冊は、親子の時間の一部になっていく。

 

遊ぶこと、読むこと、聞くこと。そして、親子で一緒に楽しむこと。

その一つひとつが、子どもの学びにつながっていく。

 

 

知育の話は、片付けの話にもつながっていく。子どものおもちゃは、気づけば少しずつ増え、リビングに広がっていく。

 

片付けても、またすぐに出てくる。親にとっては、悩ましいもののひとつである。

 

そんなおもちゃの置き場所について、林社長は「収納」とだけ考えない。

 

「おもちゃのおうち」

 

遊んだおもちゃが帰る場所。そのおもちゃの住所。戻っていく場所。林社長は、片付ける場所をそう表現する。

 

「どこに戻してあげるか、帰るおうちを作ってあげるという言い方をするんです」

 

「片付けなさい」「戻しなさい」と言われると、子どもはなかなか動かないこともある。

 

けれど、「おうちに帰してあげよう」と言うと、少し意味が変わる。おもちゃにも帰る場所があり、出しっぱなしにしているとかわいそうかもしれない。大切にしてあげたい。そんな感情が、子どもの中に生まれていく。

 

戻す場所におもちゃの写真を貼り、子どもにもわかりやすくするのも一つの方法だという。

 

ただ片付けるのではなく、おもちゃをおうちに帰す。言葉を少し変えるだけで、子どもの受け取り方も変わっていく。

 

これは、家づくりや暮らし方にも通じる考え方である。収納をたくさん作れば、すべてが解決するわけではない。

 

何をどこに置くか。子どもが自分で戻せるか。そこに親子の会話が生まれるか。
暮らしの中の小さな工夫が、子どもの行動を支えていく。

子どもと向き合うことは大切だ。

 

けれど、毎日ずっと丁寧に向き合い続けるのは簡単ではない。仕事があり、家事があり、疲れている日もある。つい急かしてしまうこともある。

 

林社長自身も、夫婦で働きながら子育てをしてきた。だからこそ、親がいつも完璧でいられないこともよくわかっている。

 

「毎時間、毎回というより、タイミングかなと思っています」

 

大切なのは、ずっと一緒にいることだけではない。短い時間でも、子どもに関心を持ち続けること。

 

林社長が大事にしてきたのは、子どもの行事や発表の場をできるだけ見に行くことだった。

 

ピアノの発表会、学校のイベント、運動会、文化祭。大きなものから小さなものまで、できるだけ家族で見に行く。

 

そうすることで、「見ているよ」「気にしているよ」「あなたのことに関心があるよ」という思いを、言葉だけではなく行動で伝えてきた。

 

「子どもに対しての関心を、家族で必ずそういうのを見に行くことで示してきました」

 

家に帰ったら「どうだった?」と聞く。うまくできたときには頭を撫でる。短い時間でも、子どもの話に耳を向ける。特別なことではなくても、そうした小さな関わりの中で、子どもに伝わるものがある。

 

「ちょっとした時間の距離って、愛情を増す一つの道具だと思っているんです」

 

離れている時間があるから、帰ってきたときの愛おしさがある。久しぶりに一緒に遊ぶ時間が、より大切に感じられることもある。

 

親子の時間は、長さだけで決まるものではない。どんな気持ちで向き合うか。どんな瞬間を見逃さずにいるか。その積み重ねの中で、親子のつながりは育っていく。

 

 

林社長の話を聞いていると、知育は決して特別なものではないと感じる。

 

高価な教材を用意することや、早く文字を覚えさせること、誰かと比べてできることを増やすことだけが知育ではない。

 

子どもが手を伸ばせる場所におもちゃを置く。遊び方を急がずに見守る。壊すことや失敗することも、成長の一部として受け止める。

 

絵本を選びながら子どものことを思い、おもちゃが帰る場所を一緒につくる。そして、できたときには一緒に喜ぶ。そうした日々の積み重ねの中に、知育がある。

 

林社長は、子どもたちに「未来を作るための知恵」を得てほしいと話す。

それは、難しい知識を詰め込むことではなく、自分で考え、やってみて、うまくいかなくてももう一度試すこと。誰かに褒められて、また前に進もうと思えること。

そうした小さな経験が、子どもの中に少しずつ積み重なっていく。遊びの中に、学びの芽がある。その芽を見つけるのは、親のまなざしであり、育てていくのは子ども自身の好奇心である。

 

 

アシュメリーが届けているのは、知育玩具だけではない。親子で過ごす時間、子どもの興味に気づくきっかけ、そして暮らしの中で学びを育てる楽しさである。

 

 

【取材先紹介】

アシュメリー・クリエイト株式会社は、三重県を拠点に、知育玩具や絵本、生活雑貨などを取り扱うライフスタイルショップ「アシュメリー」を展開する企業です。

「より素敵な明日」をコンセプトに、子どもたちの学びや成長、家族の豊かな時間づくりにつながる商品やサービスを提供されています。

企業概要や事業内容の詳細は、下記をご覧ください。

アシュメリー・クリエイト株式会社 
https://www.asumerry.com/

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